●初めて「医者になりたい」と聞いた日
息子が初めて「医者になりたい」と言い出したのは、小学5年生の初めの頃でした。
正直なところ、その時は私も妻も本気にしていませんでした。「たまたまテレビか何かを見て、ちょっとなってみたいと思っただけだろう」と。
しかし、半年に1回ぐらい「今、何になりたいの?」とさりげなく聞くと、やはりブレずに「医者」と答えます。「もしかしたら本当なのかな……」と、少しずつ私の中で捉え方が変わり始めました。
そして小学6年生の終わりの頃。 「もし本当に医者を目指すとしたら、準備や勉強は早ければ早いほど有利になる。そろそろ本格的に準備しないといけない」と考えた私は、息子に最終確認をしました。
息子の答えは、やはり「医者になりたい」。 ここで私たち夫婦は、家族一丸となって「医学部」という高い山を目指すことを決意しました。
●「夢を語る子供」と「現実の壁」
医療現場で働く私にとって、医者になるための道のりがどれほど辛くて大変かはある程度分かっているつもりです。
しかし、子供が夢を語るのは比較的簡単なこと。 「どのくらい勉強した方がいいのか」「全国でどのくらいの順位にいなければならないのか」といった具体的な現実は、小学生には全く見えていません。
私が一番恐れたのは、普通の勉強量でなんとなく高校入学まで進んでしまい、いざ蓋を開けてみたら「医者になるには偏差値も、勉強量も、知識量も全く足りない」と、高校の段階で完全に道が閉ざされてしまう(詰んでしまう)ことでした。
親として今できるのは、
- 医者になるのがどれくらい難しいのか
- どういう覚悟が必要なのか
- どのくらいのスピードで、どの程度のクオリティの勉強をすべきか
- 医者になると、どのくらいお金がもらえて、どんな楽しい未来が待っているのか
これらを、正確に子供に教えてあげることだと思いました。
●日常会話ではなく「パワーポイント」を使った理由
ただ、小学生の子供に対して、真面目に長時間話しても頭には入りません。
かといって、日常の会話の中で「医者になるには上位何%に入らないとダメなんだよ」「こんなに難しいんだよ」と断片的に伝えていては、全体像を理解させるまでに半年や1年もかかってしまう気がしました。
そこで私が考えたのが、**「私が息子に向けて、医者になるためのプレゼンをする」**という方法でした。
私はパソコンを開き、パワーポイントでスライドを作成しました。
- 医者になるための具体的な道のり
- 必要な勉強量と全国順位
- 将来の収入や、待っている楽しいこと
- どんな種類の医者がいるのか
これらを視覚的に分かりやすくまとめ、息子の前で20分ほどかけて「プレゼン」を行いました。
●プレゼンがもたらした効果
結果として、この方法は大正解でした。 1回で全てを完璧に理解したわけではないかもしれませんが、スライドという「目に見える形」で厳しい現実と素晴らしい未来を突きつけられたことで、息子の中に「医者を目指す覚悟」がしっかりと芽生えたのを感じました。
このプレゼンは、息子が医者への第一歩を踏み出すための、強烈な「背中を押す役割」を果たしてくれたと思っています。
子供が「〇〇になりたい!」と非現実的にも思える高い目標を口にしたとき。 ただ応援するだけでなく、親が本気で「現実のロードマップ」を提示してあげること。同じように子供の夢をサポートしたいと考えている親御さんには、この「プレゼン形式」をぜひおすすめします。


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